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宝塚市は、訪れたことがない小学生時代からあこがれの地でした。
当時、今とは違い土曜日がお休みではなく午前中だけ授業があった頃です。
小学校から帰ると、共働きだった母が準備してくれていた昼食を食べながら吉本新喜劇を見てその後に放送していた番組に惹きつけられます。
タイトルは忘れましたが、それが宝塚歌劇団との出会いでした。
私は単身赴任でほとんど家にいなかった父を除き、4人の女性(祖母、母、姉、妹)に囲まれた生活も影響したのか、女性が男性を演じる、小学生ながらに「かっこええなあ・・・」と食い入るように見ていたのを思い出します。
そんな歌劇団がある地、宝塚市は下記の3つの事で特別な存在となっています。
まずは、ファンの方へ謝っておきます。
私、ファンの方からすると叱られるようなことを言ってしまうかもしれません(ただでさえ、当事務所のご相談者様の中にファンの方が多いので・・・)。そこはどうかご容赦の程。
大学生時代、私は実家の京都から阪急電車で大学に通っていました。
体育会アメリカンフットボール部に入部していましたので、その練習に向かうべく阪急京都線の西院駅で梅田行き急行電車を待っていたんです。
何気に壁を見ると、歌劇団の宣伝ポスターが貼ってあったんですね。
それが【ベルサイユのばら】。普段なら、「ああ宝塚歌劇のポスターか・・・」と目を向ける程度だと思いますが、この【ベルサイユのばら】のポスターは違いました(ご存じない方はごめんなさい)。
月組(オスカル編)として当時のトップスター涼風真世さんがすごくかっこよく、また、アンドレが週替わり(?)で、交代するんです(たしか、杜けあきさん、天海祐希さん、大浦みずきさんだったかな)。
このポスターを見て初めて、なぜか「プロ意識」というものを感じさせられました。
小学生時代から身近にあった歌劇団。その中でも、このポスターからにじみ出てくる「プロ意識」というものは、部活の事や将来の就職活動に悩んでいた私に「俺もがんばらないとあかん」と大きな影響を与えてくれました。
結婚後、なかなか子どもにご縁がなないなあと思っていた所、平成21年に「授かったみたい・・・」と妻から聞いたときは、嬉しい反面、まだ父親になるという実感がわきませんでした。
阪急宝塚線清荒神駅から歩いて数分の産婦人科に、何度も検診で妻と一緒に通いました。
そんなとき、なぜか私の父の事を考えていました。
私の父は幼い頃に祖父(父の父)を亡くし、祖母(父の母)が女手一つで父を含む3人の兄弟を育ててきたという話を、平成元年に亡くなった祖母からよく聞かされていました。
私が実家に帰った際に「(親になる)実感が・・・」と母と何気に話をした際、「お父さんも、あんたが子供の頃同じようなこと言ってたなあ・・・」と聞かされました。
父自身も幼少期に父を亡くしていたから、父親として私たち子どもににどう接していいのかわからなかったそうです。
私も、幼少期から海外に単身赴任していた父とは、ほとんど接した記憶がありません。
元来、父は口数が少なく喜怒哀楽を表に出すタイプでもなかったので、今回の長女の誕生に際し、父がどのような反応を示すのか興味がありました。
世間様では「孫は無条件にかわいい」とよく聞きますが、わが父にもそれが当てはまるのか・・・。
実際、長女が生まれると、そこには生まれたての長女を抱っこする満面の笑みの父がいました。母でさえ結婚以来見た事がない笑顔。
そんな父に、宝塚市の産婦人科待合室でこんな質問を聞いてみたくなりました。
「俺らが生まれた時、父親になったって実感あった?」。
父はしばらく窓越しに外を眺めながら「今、こうやってお前の娘を抱っこさせてもらってる。それでええやないか・・・」。
質問の答えにはなってないようですが、その時の私にとって、腑に落ちる父の言葉でした。
その日は春の昼下がりの陽射しがとても暖かな、そして、その温かな日差しと共に少しだけ父親になれたような気がしました。
長女を授かって、4年後に長男が誕生しました。
同じ宝塚の産婦人科でお世話になる事にしました。
阪急清荒神駅から病院までの道のりは、かつての長女の時と同じですが、駅から病院までの坂道を下る右手には長女の手がしっかり握られています。
長女・長男2人とも宝塚市の産婦人科でお世話になりましたが、長女の時と違うのは長男が生まれる3年前に亡くなった父がいないことです。
妻とも話していたのですが、正直、亡き父には長男の誕生を見せてやりたかったです。
上記のように、私にとって宝塚市は学生時代の、そして社会人となって2人の子どもを授かるという特別な地域として存在しています。
銀行員時代には歌劇団の方が口座開設に来て下さったというご縁もあり、そういった人と人とのご縁を大切にしながら、相続手続きを中心に司法書士業務を通じて恩返しが出来たらと願っています。
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